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23.祇園会、手洗の水

Source:『都名所図会』巻二

 京都の夏を彩る祇園祭。江戸時代には祇園御霊会、略して祇園会とも呼ばれていました。祭りにあわせて様々な行事が行われていましたが、祭りの期間にだけ開放される井戸がありました。絵はその手洗の水の井筒を描いたものです。烏丸通り錦小路の北、東側にあります。
 今日の祇園祭は7月の行事ですが、旧暦では6月の行事でした。ですから、この手洗の水も現在では7月15日から24日に開かれているのですが、江戸時代には6月7日から14日までの期間に開放されていたこと、絵の上部の解説にも記されています。また、これは明治時代まであった祇園祭の「前の祭り」の期間に相当します。
 絵を見ると、祇園社の神紋である木瓜を施した軒の下に井筒があり、その前で手を浄め口を漱ぐ男性が二人。「ここの水は冷やっこいなぁ」。それもそのはず、ここの水は「凄冷たる清泉にて比類なし」。故に、祭りの浄めに使用されるのです。町内のお母さんも子たちを連れて来ています。
 「ここの井戸、名は何という」、小者に尋ねる武士。「へぇ、手洗の水と言いまして…」と、解説を受けています。その後方からやってくるのは、町内の女性たち。瓶子や榊を持っています。これは、神様に御供えするためのもので、やはり浄めの水を使用します。
 また、上部の解説には「この水を服すれば疫をまぬがるるとぞ」とありますように、この水を飲むと一年を無病息災に過ごすことができたのです。

From:Yuki NISHINO