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33.大徳寺塔頭、芳春院

Source:『都林泉名勝図会』巻一之乾

船岡山の北側、臨済宗大徳寺派大本山大徳寺は、大燈国師の開山。芳春院はこの大徳寺の塔頭で、大徳寺方丈の北側、大仙院に北接してあります。
 慶長13年(1608)年、前田利家夫人の松子が、直指心源禅師を開祖として建立されたのが、芳春院です。前田家の菩提寺です。
 名所図会の本文を見ますと、「加州大納言利家卿の室土方掃部助の女、元和三年七月十六日逝す、芳春院華岩宗富と号す」と記されております。いわば『利家とまつ』ゆかりの寺院なのです。
 寺内にある呑湖閣は、元和3年(1617)に横井等怡と小堀遠州によって建てられた楼閣です。現在の建物は、文化元年(1804)に再建されたものです。絵はその呑湖閣を描いたもの。右下隅には見物に訪れた人の姿もみえます。「前田候ゆかりの寺院だけあって、風格がありますなぁ」、「いやいや、遠州のお庭も見事なもんです」、指さしながら歓談しています。

From:Yuki NISHINO